ゲーミングモニターを選ぶときの疑問と実機検証【FPS】

FPSなどのオンライン対戦ゲームをしているとき、少しでも撃ち勝ちたい気持ちがあると思います。それには武器の選び方や立ち回り方法などいろいろな要素がありますが、ゲーミングモニター選びというのも重要な要素となっています。
ゲーム用は普通のモニターと違って液晶パネルの種類や適性サイズ、残像に影響する応答速度と黒挿入機能、フレームレートとリフレッシュレートの関係によるティアリングなど、実際に使ってみないとわからない仕様や機能が多くなっています。

そんな中、PlayStation 5やXbox Series Xの登場でゲーミングモニターの導入を検討する人が増えてきました。
ゲーミングモニターというからにはゲームをするために購入するわけですが、製品ごとの機能や性能の違いはネット上の情報では甲乙つけがたいところがあります。かと言って実際に店舗に見に行ってもデモ映像やデスクトップ画面くらいしか見ることが出来ないのでいまいち参考になりません。
最も重要なことは自分が重視したいゲームの映像を見てみることですが、それも接続するPC(またはゲーム機)の性能などによって見え方が変わってくることもあります。
ユーザーレビューを多く集めることによって個人の主観を平均化するのも良いですが、それをするとしてもゲーミングモニターならではの機能とその有効性は事前に知っておいた方が絶対に有利です。

この記事ではFPSゲームを最重視しつつも他のジャンルもプレイし、WEBブラウザーのような一般的な使い方もする前提での製品選びをテーマとしています。
画面は大きければ良いわけではない解像度は高ければ良いわけではない残像はなければないほど良いわけではない等、実際にゲームをプレイしてみてわかる「通常のPCモニターやテレビとは異なる常識」を知っておいてください。

(注意)この記事には個人が感じた印象を曖昧な擬音等で表現している部分があります。モニターを目で見て感じたことは数値などに置き換えることが難しく、どうしても個人の趣向や動体視力などによって感じ方が変わってきてしまいます。つきましては、そのうえで明らかにおかしい部分がありましたらご指摘をお願いします。

この記事は2020年に公開したPS5おすすめゲーミングモニター情報に潜む間違い→疑問&独自解釈【パソコン対応】から「パソコン対応」の部分を切り出して修正したものです。PS5で利用する場合の注意点については上のリンク先を確認してください。

ゲーミングモニターに関する用語など、基礎的なことから知りたい人はこれだけは知っておきたいゲーミングモニターの予備知識から見てください。

液晶パネルにはTN・IPS・VAとあるけど?

これに関しては多くのサイトで説明されていて、概ね正しい情報が広まっていると思います。
ただ、同じ方式でもパネル自体が以前より進化していたり、テレビやスマホとは違うPCモニターならではの事情があったりしますのでそのあたりを書いておきます。

TN液晶

TNの発色は昔より良くなっていますが、白バックに明るい色の文字が表示されていると読みにくい場面があります。

実のところ発色よりも依然として上下の視野角の狭さが問題で、真正面から見ていても画面の上が暗く、下が明るく見えます。
この現象は画面に顔を近づけるほど顕著になり、ゲームにて上方の暗がりがやや見えにくくなるハンデを僅かながら背負うことになります。
また、逆に雪のステージの下半分が白すぎてよく分からないという経験をしたことがあります。

TN液晶パネルを高い位置から見た場合と低い位置から見た場合の明るさの違い
TN液晶パネルを高い位置から見た場合と低い位置から見た場合の明るさの違い(クリックで拡大)

上の画像の左側はTNパネルを上の縁の高さから見下ろした見え方で、右側は下の縁の高さから見上げた見え方です。
そこまで頭が上下することはありませんが、同じ画像でここまで変わってしまうということは、中央の高さから見ていても上下で明るさが変わってしまうことがわかると思います(右側の白っぽい部分は照明の反射)。

この記事がFPSゲームを重視した内容になっているとはいえ、それ専用にするわけではないのであれば発色や視野角の問題で躊躇してしまうところでしょう。

IPS液晶

IPSは2020年あたりから24インチのハイリフレッシュレート機が続々登場しました。このクラスは安価に残像が抑えられるTNがメインでしたが、IPSの進化と低価格化によって「24インチの144HzならTNが鉄板」という時代は終わりました。

TN液晶(左)とIPS液晶(右)の上下の視野角の違い

上の画像はWindowsの壁紙を撮影した切り抜きですが、左がTN液晶で右がIPS液晶です。IPSは上端と下端の明るさがほぼ同じであるのに対し、TNは上端が暗くなり、下端が明るくなっています。
※TNの方にノイズのような模様が写っているのは保護フィルムの影響です。
これらのことも含め、スペック上の応答速度や低価格という理由でTN一択を妄信する時代ではなくなったと言えるでしょう。

新しいIPSのひとつであるLGのnanoIPSについてですが、実際に使ってみたところ赤の発色が良く、設定で赤の色合いを落とさないと赤だけが目立つほどでした。逆にいうと、色合いを落とさなければFPSゲームにおいて敵の赤点が異様に目立つという利点にはなります。

VA液晶

VAは高価格帯の4Kテレビにも採用されています。残像感は黒挿入で減らすことが出来ますので、HDRを重視したいテレビは液晶の中では比較的コントラストが高いVAに行きつくようです。
ただ、いくら黒が締まると言ってもPCモニターの表面はノングレア(非光沢)処理がされているので明るい部屋ではどうしても暗い部分が白っぽくなってしまいます。

ノングレア処理されたVA液晶パネルの反射光
ノングレア処理されたVA液晶パネルの反射光

上の画像はVAパネルを撮影したものです。左上の夜空を含めて白っぽくなってしまっています。
これは明るい場所で撮影したので特に顕著に表れていますが、いくら黒を暗く表現できるVAパネルでもノングレア処理のザラザラが周囲の光を乱反射させてしまいます。
また、VAパネルはIPSに比べて視野角がやや狭くなっていますが、一部のモニターは画面を湾曲させて対処しています。同じVAパネルのテレビが湾曲していないのは複数人が離れて見たりする可能性が高いことと、グレア(光沢)が主流のテレビでは不自然な映り込みが気になってしまったり、ガラスを採用することがあるからでしょう。


テクノ坊
テクノ坊

レースゲームや映画鑑賞を重視するならウルトラワイドが豊富なVAでもいいけど、いろいろな使い方をするのならコントラストが低いこと以外にこれといった欠点がないIPSが無難だと思う。
TN最大のメリットだった応答速度の速さも、FastIPSのような新技術が登場したことでデメリットを容認してまで選ぶ理由にはならなくなってきた感じかな。

ゲーミングモニターなら出会い頭の撃ち合いで勝てる?

オンライン対戦のFPSなどで「敵と同時に撃ち始めてるのに撃ち負けるのはモニターの遅延のせい」と捉えるのも間違いではありませんが、実際に撃ち負けるほど遅延していたら撃ち合い以前に操作がギクシャクしてしまうはずです。
あらゆる機能を駆使することでゲーミングモニターが有利になることは間違いありませんが、出会い頭で撃ち負けるのにはテクニックやモニターの性能以外に大きな原因があります。

お互いのテクニックやモニター以外で考えられる原因は「通信のPing値やサーバー処理による遅延(ラグ)」です。
マッチ中、移動しているあなたの現在位置や動きを見ているのはあなただけで、他のプレイヤーは僅かに過去のあなたを見ています。逆にいうとあなたが見ている敵は僅かに過去の位置や動きなので、敵が撃つのをあなたが見たタイミングよりも実際にはコンマ数秒前に敵は撃っているのです。
とくに影響が大きいのは角からカニ歩きで出てきた敵です。お互いに相手のほんの少し過去を見ているのですが、カニ歩きで飛び出してきた敵の過去はまだ飛び出していないので見えません。しかし、あなたは走っていたとしても待ち伏せていたとしてもすでに角からこちらを見ながら出ている敵にあなたの過去が見えているので先に撃たれてしまうのです(下図参照)。

Ping値やサーバーの遅延による撃ち負け例
Ping値やサーバーの遅延による撃ち負け例。当たり判定は見えている像にある。

これはお互いに存在を感知しているときほど違いを感じやすく、待ち伏せよりもカニ歩きの方が有利になります。ただ、カニ歩きは遅いのでジャンプで飛び出しながら90度振り向く人もいます。
それ以外では、お互いに感知していないところで遭遇した場合は角から出てくる側の方が敵を警戒しているので有利だとも言えます(それゆえのカニ歩き)。

他に、走っているときに横から撃たれていて、障害物に逃げ込んだあとにキルされた経験がないでしょうか。これもラグの影響で、敵が見ているあなたは僅かに後ろを走っているので障害物に遮られる前にとどめを刺されているのです。もし、これほどのズレがモニターの遅延だとしたらとても操作など出来ません。
ただ、それでもゲームモードに力を入れていないテレビの遅延はFPSゲームなどで致命傷になるのは確実でしょう。

応答速度が速ければ操作は快適?

遅延に関してネットの情報で多く見られる「応答速度が速いから操作の反応が良くて快適」というのはほぼ間違いです。
一般的に応答速度といわれるGrey to Grey(GtG)は「ピクセル(ドット)のとある中間色が変化し始めてから別の中間色に変化し終えるまでの時間」です。
決して表示され始めるまでの時間ではなく、表示され始めからされ終りにわずかながらもかかる時間のことなので応答時間が正しい言い方になります。その時間は操作の反応にはほとんど影響せず、主に残像の発生(滲み)に影響します。
とくに古いIPS液晶は応答速度が遅く、時代にもよりますが素で12ms(GtG)ほどありました。最近のIPSは素でも速くなってきており、さらにオーバードライブという技術で1~4msくらいにまで縮めています。

ゲーミングモニターを選ぶ際に応答速度は重要ですが、この数値は曖昧なものです(次項を参照)。
そもそも1msと4msの差は3ms、つまり0.003秒です。目の前でリスポーンしてきた敵が0.003秒早く見えたり、0.003秒操作レスポンスが速くなって成績が変わるかという話になります。
120fpsで1コマが1/120秒なのに、1/333秒の遅延が気になるのはプロ級です。

よくありそうな比較動画で「ゲーミングモニターの1msとテレビの8msでは遅延の差が明確」というのは、テレビ特有の映像処理による表示遅延やフレームレートの差が原因でしょう。これはゲーミングモニターと普通のモニターを比べた際にもスローにして見ればわかるほどです。
ですので、スペック上の応答速度1msと4msの違いを気にするなら、実用域での残像と別の原因による遅延および、後述する残像感を気にしてください。

応答速度1msなら残像が少ない?

少ないか多いかといえば少ないですが、応答速度が1msという理由で残像が感じられない液晶モニターはありません。

実際に表示される残像と目で感じる残像感

前の項で応答速度は残像の量に影響する旨を書きましたが、実のところ残像は目が残像を感じる原因のひとつでしかありません。残像は実際に画面に薄っすらと表示されている1~2コマ前後の像のことで、実際に感じる残像感とは「目に残った像および、動体と視線移動のズレによる動体ブレを含む体感」のことです(動体ブレは後述)。

応答速度の違いによる残像の度合い(イメージ)
応答速度の違いによる残像の度合い(イメージ)

上の図は応答速度による残像の出方の違いをイメージしたもので、応答速度が速いことを想定した下段の方が本来の像がハッキリと見えています(あくまでもイメージ)。
これは実際に表示される残像であって、残像感は別の原因にも影響されます。つまり、応答速度の速さだけでは見て感じる残像は消せません。
実際に感じる残像はもっと滲んだような感じに見えていると思います。上の図は残像自体の瞬間を再現しただけであって、この残像が少なかったとしても目で追うことによる残像感は発生するのです。

高フレームレートによる残像感の減少

残像を感じる原因として他に考えられそうなのはフレームレート(fps)の低さです。フレームレートが3倍高くなると残像が減るかどうかについてですが、それは残像が減るというよりも残像感の大きな要因である動体ブレが大きく減ります(残像感については黒挿入機能の項でも説明)。
フレームレートが増えることによってコマ間の物体の移動距離が短くなるわけですが、結局のところ、応答速度が極端に遅い場合はコマ数が3倍になっても2コマ前の残像がまだ残っていることがあり、グラデーションのような滑らかな残像が映し出されるようになります。
一方、コマ間の移動差が小さい上に応答速度が速い場合は大変目立たない残像になります。

また、同じIPSパネルでも「素で速いパネルを1msにした場合」と「素で遅いパネルを1msにした場合」とでは実用性が若干違います(nanoIPSは黒挿入機能がなくても残像があまり気にならない)。
同様にTNパネルにも世代があり、24.5インチの製品に応答速度0.5msが多いのは24.5インチTNパネル自体がここ数年で開発されたものだからでしょう。

応答速度(MPRT)とは

最近、応答速度にMPRTという方式が採用されてきているのは、世間的に「応答速度 1ms」という表記だけが注目され過ぎているためではないかと思われます。
IPSやVA液晶では過度にオーバードライブをかけないとGtGにて1msを実現するのが難しく、かと言ってそのまま「3ms」等と表記すると、応答速度を単純な遅延だと思っている人たちに敬遠されてしまいます。
そこで、より現実的な残像時間としてMPRTという計測方法を編み出したのかもしれません。[注意:極度の推測]

一昔前、デジカメ選びのときに画素数ばかりが注目され、「画素数が多い=高画質」のような誤解が広がった結果、無駄に画素数が多いカメラやスマートフォンばかり登場しました。イメージセンサーの大きさが同じ場合、画素数の多い方が暗さに弱くなります。

応答速度はGtG 4ms以下では実感の差は少なく(「遅延を体感できる」と言っている人は別の問題)、GtG 1msと謳っている製品でも実用的なオーバードライブ設定では3msくらいになるかもしれません(最強設定の一つ下)。
つまるところ、GtGの0.5msや1msという宣伝文句に過剰にこだわる必要はなく、残像と残像感を劇的に減らしたいのであれば黒挿入という機能に頼るしかありません(後述)。

応答速度を速くするオーバードライブってなに?

オーバードライブとは電圧を調整して色の変化を速くする機能です。数十年前の液晶パネルは映像作品のフワッとした場面切替のように盛大に残像が出ていました。元来、液晶に残像はつきものなのです。

まず、俗にいう「応答速度(GtG)1ms」とはオーバードライブを最強にした場合の「中間色(Grey)→中間色(Grey)」の目安時間です。
また、一部のメーカーでは黒挿入機能を使うことで1msと表記している場合もあります。

まれに応答速度を「黒→白→黒」の合計時間と説明している人もいますが、一般的にスペック表ではGtGの値なので任意の「中間色→中間色」です。
この任意の中間色とはメーカーに都合の良い色から色、要するに最速だった色だと思ってください。

このオーバードライブを最強にすると高確率で行き過ぎ(オーバーシュート)による弊害が現れ、オーラのような偽色の不自然な残像が発生します。例えば、青空の映像にそれよりも暗い物体がゆっくりと横切ったとき、空よりも明るい残像のようなものがぼんやりと見えるようになり、通常の残像より不自然に感じます。
これは電圧を過剰に上げると色の変化が行き過ぎて空より明るくなってしまうためです。逆に暗くなりすぎることをアンダーシュートといいますが、一般的には双方ともオーバーシュートと呼ぶことが多いです。

注意点として、もともと応答速度が遅めの液晶パネルに実用的ではない強さのオーバードライブを設定可能にして「応答速度 1ms(GtG)を実現!」としている製品がある可能性があります。
例えばAcer VG240YSbmiipfxは商品画像では「0.5ms」を主張していますが、商品説明では0.5msはあくまでも最小値で、スペック的には2ms(GtG)であると記載しています。これは0.5msに設定するとFreeSync Premiumが使えなくなることが理由だと思われますが、0.5msだと盛大にオーバーシュートが発生してしまうからかもしれません(推測)。
素直に2msとすると、応答速度のことを勘違いしている人や「絶対に1ms以下は譲れない」という人の目に留まらないための苦肉の策でしょう。

それほどスペック上の応答速度の数値は曖昧であり、事実上、色々計測して最も高速だった色から色への数値を大雑把に表記しているだけだと思ってください。
ゆえに同じIPSの1msでも実態はまちまちで、ましてやIPSの1msとTNの1msは別物であろうと捉えつつも、数値はあくまでも参考程度にとどめておいてください。

「応答速度(MPRT)1ms」とは、GtG(中間色→中間色)のように単純な色の変化速度を計測したものではなく、実際に動かした映像の残像を計測した数値で、一概には変換できませんがおよそ1ms(MPRT)→3ms(GtG)前後だと思われます。
といっても、重要なのはオーバードライブ最強による最速記録ではなく、実際に映像を表示して感じられる残像感です。
オーバーシュート前提の1ms(GtG)も実用的な1ms(MPRT)も極端な差はないと思われます。
結局のところこれも1msと表記したいメーカーの都合なのか、はたまた機械的なGtGにばかり注目される風潮を変えたいからなのかは内部の人にしかわかりません。
例えば…
①IPSパネル 応答速度 3ms(GtG)
②IPSパネル 応答速度 1ms(MPRT)
③TNパネル 応答速度 1ms(GtG)
上の中で、「よくわからないけど応答速度は少しでも速い方がいい」と考えている人が真っ先に候補から外すのは①だと思います。しかし、「MPRT:1ms」としている製品が「GtG:3ms」と補足していることがあります。つまり、どう表記するかということになります。
残った②と③では計測基準が違うにもかかわらず「同じ応答速度なら色が綺麗なIPSがいいか」となってしまうでしょう。仮に同じ「GtG:1ms」だったとしても「元来速いTN」と「強引に速くした古いIPS」、「元来速い新IPS」では同じとは言いきれません。

ちなみにオーバードライブはモニターの設定で弱めることが出来るので、スペック上が1msの製品でも平均3msなどにすることが出来ます。つまり、1msのモニターだからといってオーバーシュートが免れないというわけではありません(そもそもデフォルト設定が「最強」ではない)。
実際にIPSで1msを売りにしている製品の説明書を見ると、1ms(オーバードライブ最強やVRBオン)ではFreeSyncが使えないなどの条件があったり、レビューを見るとオーバーシュートによる残像が酷くて逆効果という感想が散見されます。
それでもそんな設定をつけるのは「1ms」や「0.5ms」という表記をするかしないかで注目度が大きく変わってしまうからなのでしょう。

逆に考えて仮に応答速度が素で0msだとすると、クッキリ見えすぎて人によっては60fpsではカクツキが気になるようになります。なので、低fpsではある程度残像があった方がコマとコマの差がマイルドになるという考え方も出来るでしょう。
目で感じる残像対策に重要なのは、目安として4ms(GtG)以下または1ms(MPRT)の応答速度・高リフレッシュレート・高fpsで、さらに黒挿入機能があると劇的に減らせます。ただし、残像がなさすぎるとギラギラした映像になることもあり、具体的には止まっているときよりスクロールしているときの方がクッキリ見えたりします。

テクノ坊
テクノ坊

レースゲームとかだと速く流れる部分にわざわざモーションブラーをかけてるけど、あれがないと物凄い速いコマ送りみたいに見えちゃうんだろうなぁ。

応答速度 1ms(GtG)のnanoIPSにおいてもオーバードライブ最強にするとオーバーシュートしますが、1段階下げても残像は少なくて見やすいです。
新技術によるIPS液晶には黒挿入機能は不要といっても過言ではなく、逆にフレームレートが低いときにはある程度残像があった方が動きが滑らかに感じられます。

FPSやるなら24インチって聞いたけど?[PC編]

PCでFPSゲームをプレイする場合、24インチのモニターがいいとは一概には言えません。24インチ画面を適切な距離で見ると画面全体を把握しやすいと言われていて、たしかに48インチ 4K画面で適切な距離まで離れると視力の関係で細かいところが見えにくくなります。
48インチは極端な例なので、24インチと迷うことの多い27インチではどうでしょうか。答えは2タイプに分かれます。1つ目の答えにつながる要素として、PCゲーミングの利点に視野(FOV)と解像度が選べることが挙げられます。
例えば27インチモニターにして視野を広げれば、24インチモニターで見えていた範囲を27インチの中にすっぽりと収めることが出来、大きい分だけその周りまで表示することが出来るのです。
プレイ中に把握するのを(27インチ中の)24インチの範囲だけにするとしても、24インチモニターでは画面外で見えない部分が27インチモニターでは視界の隅で動きを感じることが出来、同時に没入感が高まります。
もうひとつPCならではとして21:9などのウルトラワイドモニターが利用できます。FPSゲームでは重要性が低い視界の上下部分をカットすることでわずかながらフレームレートを稼ぐことが出来、ミニマップや残段数などの表示が視界の隅に行くので邪魔になりにくくなるという利点があります。

2つ目の答えはそのままズバリ24インチを使うことです。理由としては、1つ目の答えを実践するといくつかの問題が起きるためです。
まず、視界の大部分を画面にしてしまうと酔いやすくなります。モニターの後ろの壁などが多く見えている方が没入感と反比例して酔いにくくなるのです。
あと、たとえ酔わない人でも目が疲れます。FPSゲームは左右にせわしなく索敵しなければならないので、視線の移動距離が伸びると疲労が増える上に反応するまでの時間も増えます。
とくに縦横の差が大きいウルトラワイドの場合はミニマップが遠くなるので、そこの赤点が重要なゲームでは顕著でしょう。
また、視野を広げることは「視界に入る情報量が多いと混乱してしまう人」には不向きです。真正面に敵を発見したのに、画面の端にいてこちらを見ていない敵戦車(または味方の戦車)に気を取られて一瞬の迷いを持つと失敗することがあります。
他の問題としては視野や解像度を上げることでフレームレートが下がってしまうことがあります。ハードの性能が千差万別のPCゲーミングにおいて低いフレームレートは大きなハンデです。視野を広げられない場合はマウスを小まめに左右に振ることで対処しましょう。そうすれば視線の移動も減るので疲れにくくもなります。

最近のゲームはCPUやメモリーがネックとなってフレームレートを下げている場合があり、グラフィックレベルを変更してもあまりフレームレートが変わらなかったりします。その場合は解像度をフルHDからWQHDに変えたくらいではフレームレートは下がらない可能性があるので思い切って買い換えるきっかけになります。

答えになかった「24インチのまま画角を上げる」は中心部が小さく表示されてしまう(正面の敵が遠く、荒く見える)ので限界があります。近距離メインでない限り厳しいでしょう。

もし27インチにする場合、フルHDだと僅かながらも画像が荒く感じられますので、WQHDにすると確実に見やすくなります。とくにリアル系FPSは実戦のように遠く離れた米粒のような敵とも撃ち合うことになりますし、中距離でも兵科の判別がしやすくなるでしょう。ヘリコプターで歩兵を狙うときも若干有利になります。
もちろん、GPU性能に余裕があるのであれば28~32インチの4K表示も良いでしょう。細かいところをよく見たいときだけ顔を近づけるという有利な技が使えます。

テクノ坊
テクノ坊

NVIDIAのRTXシリーズにあるDLSSという負荷軽減機能は、ボヤケが目立ちにくい4K以上のモニター向きだと思う。ゲームにもよるかもだけど、27インチのWQHDだと画質を優先させてもモヤッとした映像になっちゃって、フルHDに近い印象を受けたことがあるよ。

せいぜい60fpsしか出ないPCでは144Hzのモニターは無駄?

この質問、60Hz固定のゲーム機の場合は120Hzや144Hzに設定できないので性能は無駄ですし、ゲーム機利用を前提としていない製品だと遅延や残像という弊害が出る場合があります。
これがPCの場合、重視したいゲームで30~60fpsくらいしか出ない性能であれば有用ですが、70fps前後出るのであれば逆効果になります。

ティアリング現象とAdaptive VSync機能を理解しないとならない

まず、モニターは周波数を144Hz設定にすると1秒間に144回表示するわけですが、画面は高速に上から下に書き換えられていて、上から始まるタイミングが144回来るという意味です。そして、ここで挙げる例でのPC本体はゲームの負荷により1秒に50~70コマを上下するものとします。VSyncはオフです。
一定速度である「モニターの周波数」を「エスカレーターのステップ」とし、上下する「PCが送り出すコマ」を「人間」だと仮定してみてください。

60Hzのティアリング

フレームレート(fps)とリフレッシュレート(Hz)をエスカレーターに見立てる
描画中の画と表示中の画、およびその前後を強引にエスカレーターで例えた図(60Hz 60fps前後)


まずは60Hzモニターの場合です。例えばエスカレーターは1分間に60ステップという一定の速度で動いているとして、そこに向かって1分あたり60人前後の人間が歩いてきているとします。

ピッタリ1秒ごとに1人くればスムーズですが、少しでも早く次の人間が来たらその人間(コマ)は前の人間を押しのけてステップに乗ってしまいます。
「画面は高速に上から下に書き換えられている」と書きましたが、前の人間(コマ)を頭から膝くらいまで描いたところで割り込んだ次の人間の膝下を書いてしまうのです。
それにより、画面上では上下で1コマ分ズレた画像が表示され、ティアリング現象になります。

逆に人間がわずかに遅れても同じです。次の人間が来ていないときは再度前の人間の頭から描き始め、遅れた人間が来たタイミング(例えば首)からその人間を描きます。
正しくはエスカレーターでは表現できませんのであくまでもイメージだと思ってください。

上の画像はティアリングのイメージで、クルマで走行中の2人を横から見ているシーンです。
大きな動きのある部分(樹木)が上下で別のコマになるためにズレが生じます。これはゲーム側の送り出しがモニターの描画開始と合わない限り発生し続け、チラチラと目立つので没入感を阻害してしまいます。

対処法のひとつとしてゲームの設定でVSync(垂直同期)をオンにすると、最大フレームレートがリフレッシュレートを上回らなくなるのでティアリングはなくなります。エスカレーター乗り場に係員がいて、1ステップに1人までしか乗せないようにようにするイメージです。
ただ、次のステップに次の人が間に合わなかった場合は前の人のコピーを乗せるので、同じコマが続いて一瞬カクっとなります(スタッター、スタッタリング)。
現在主流のAdaptive VSync(自動・適応)はフレームレートが上限を下回ったとき(間に合わなかったとき)は同期を行なわないのでスタッターが起こりませんが、結果的にティアリングを容認してしまいます。

VSyncの解説で「GPUが演算するフレーム数の制限ではなく、モニターに受け渡すタイミングだけを制限している」とされている場合がありますが、それはおそらくFast-Sync(または高速)という機能のことだと思われます。

テクノ坊
テクノ坊

そもそもグラフィックボードの設定でフレームレートの上限をモニターのリフレッシュレートと同じにしておけばAdaptive VSyncみたいなもんなんだけどね

144Hzのティアリング

ではモニターが144Hzだった場合を考えます。1分間に144ステップが流れる高速エスカレーターに1分あたり60人前後の人間が乗ろうとするとします。

エスカレーターの動きが速ければ足を載せる瞬間にギクシャクしない
描画中の画と表示中の画、およびその前後を強引にエスカレーターで例えた図(144Hz 50~70fps前後)

やはり、ピッタリ1秒ごとに1人のタイミングでない場合はティアリングが発生しますが、フレームレートがリフレッシュレートを下回っているのでAdaptive VSyncで軽減することが出来ません。
ただし、1コマ自体は半分以下の長さになっているためにティアリング状態が短くなり、次のカラのコマには最新の画(ティアリング状態だったときの下側の画)が上から下まで表示されます。

具体的なティアリング表示時間

ティアリングは画面の上から描画し始めるタイミングと、演算された最新の画のデータを受け取るタイミングがズレることで起こります。

リフレッシュレート別に見るティアリング発生時間 54fps版

上の図は54fpsの動画を60Hzと150Hzのコマに送り込んだときの例です。時間は右に流れていて、数字は各Hzの枠に何フレーム目が表示されているかを表しています。
縦の点線がティアリング発生の瞬間で、新しい画が来たタイミングで前の画を中断しているので60Hzでも150Hzでもティアリングが発生しています。画面は上から下に描画しているので、点線が枠の左にあれば上方、右にあれば下方にティアリングが発生していることになります。
150Hzの方は枠自体が6.7msと短いのでティアリングが表示されている時間(赤い枠)も短くなり、続くコマでは新しい方の画が上から下まで正しく表示されています。
一方の60Hzはティアリング状態が長い(1/60秒)上に続く枠も別の位置にティアリングが発生しているのでチラチラと目立つことになります。
これらの差により、ティアリングが発生していても高リフレッシュレートの方が目立たないということになります。

ただし、これはあくまでも60fps未満でVSyncオフの場合です。

高リフレッシュレートでは機能する機会が少ないAdaptive VSync

では、この項の冒頭で書いた「30~60fpsでは有用だが70fps前後では逆効果」について説明します。
Adaptive VSyncはフレームレートの上限をモニターに設定したリフレッシュレートの値に制限することでティアリングの発生を抑えますが、フレームレートが下回った場合は機能しません。
それにより、60fps未満のときは上に書いた高リフレッシュレートのメリットがあるのですが、常時60fpsを上回る70fps前後のときは60Hzだと機能し、高リフレッシュレートだと機能しなくなります。
つまり、Adaptive VSyncをオンにすると、60Hzでは60fps安定のためにティアリングが発生せず、144Hzなどのときは70fps前後になるのでティアリングが発生することになります。

ただ、ティアリングが発生しても高リフレッシュレートであれば目立たないという利点は前述のとおりです。これは240Hzであれば更に目立たないことになります。FreeSyncなどが使えれば併用すると良いでしょう。

FreeSyncはモニターの仕様によって様々ですが、可変するリフレッシュレートの下限が48Hzの製品が多くなっています。この場合、48fpsを下回っているときはティアリングが発生します。

各Sync(垂直同期)機能についてはこれだけは知っておきたいゲーミングモニターの予備知識でも解説しています。

テクノ坊
テクノ坊

軽いゲームやデスクトップ利用時に144fpsを出すことが出来ればそれだけでも価値はあるけどね。

HDR機能は必須?[PC編]

まず、このページではFPSゲームをメインとする前提で書いていることを再度お知らせしておきます。

HDRの効果を最大限活かすには最大輝度が600cd/m2以上必要だといわれています。400cd/m2でも効果はあるようですが、問題点としてIPS液晶はコントラスト比が低く、バックライトを強くすると黒い部分が目に見えて明るくなってしまいます。
これだけでもHDRの必要性は高くはなさそうです。

YouTubeにHDRのオンオフを比べている動画がたくさんあります。そのうち、キャプチャーした映像は見ても意味がなく、本来は再生した機器の画面を目で見る必要があります。
再生した機器の画面をカメラで撮影した映像であれば少しは意味がありますが、やはりその撮影した映像を再生するあなたの機器によって印象が変わるでしょう。ちなみに、それを撮影したカメラが判断した結果なのか、アップされている映像の多くは青みがかった暗い映像になっています。
実際は機器の組み合わせや映像ソースによっても見え方が変わると思われるので、HDR映像をHDR表示した機器で直接見て感じないと何とも言えないのが現実です。
つまり、利用者自身が自室の環境でHDR映像をHDR対応機器で見ないと必須であるかの判断は出来ないのです。

製品によってはHDRをオンにするとオーバードライブ(残像軽減機能)が使えなくなるという話も聞きますし、「HDR機能搭載」としていてもメーカーの独自HDRであるがためにどの規格に沿っているのか曖昧な物もあります。
TNパネルのBenQ EL2870UをHDRとブルーライト軽減機能でおすすめされていることがありますが、HDRについては公式にも詳細情報がなく、ブルーライト軽減機能はHDRと併用できません。
製品を問わず、HDRはレビューを見ていても「不自然に見える」や「暗くなって見づらい」というのが多いのでどうなのでしょうか。

HDRの方式もUltra HD Blu-rayで採用されているものと放送向きのものとで分かれていますし、前者の方式でも複数の形式に分かれています。
某メーカーの製品にはHDR対応とだけ書かれている謎仕様なHDRまである始末です。

どちらにしても、FPSゲームでは雰囲気よりも暗いところが見える方が有利であることが多いのでHDRにこだわる必要はないと思います。
ほぼほぼ映画のようなゲームなら適してますが、FPSゲームなどでは暗いシーンでいきなりフラッシュライトを当てられて目がくらんだり、日光で明るいシーンが続くと日陰にいる敵が見えにくくなるかもしれません。

ちなみに筆者のモニターはIPS HDR10対応なのでFarCry 5で試しましたが、まったく明暗差の拡大は感じられませんでした(nanoIPSのせいか、HDRオフでも照明が眩しい)。
何が変わるのかというと、モニター側で色温度などの設定が出来なくなり、製作者が意図した雰囲気が味わえるようになることくらいでしょうか。
コントラスト比が高い有機EL(OLED)やVA液晶であれば明暗差の効果があるかと思いますが、この記事がFPSゲームを一番重視している以上、HDRにこだわる必要はないという結論になりました。

黒挿入機能があれば残像が目立たなくなる?

黒挿入はメーカーにより呼び名が様々で、AcerはVRB、ASUSはELMB、LGは1msMBR、他にもあります。

黒挿入機能の動作

効果は製品によって異なり、「暗くなりにくい代わりに効果が薄い」という消極的な製品からDyAcのような「劇的な効果があるのに暗くなるのを抑えている」という高性能品まで技術&調整次第です。
同じメーカーでも方式が2種類あり、呼び名通りに黒いフレームを挿入している方法とバックライトを消している時間を用いる方法があります。
どちらの方法であっても1コマ中の何割かの時間を黒にし、残像(書き換え中の色)をなるべく見せなくしたり、映像の移動と目の動きの差によるブレ感を軽減する機能ですが、60Hzでは機能しないモニタが多いので注意してください。
そもそも秒速60コマという遅いスピードで画面が明滅するとチラツキを感じる人も出るでしょうし、感じない人でも長時間凝視することによって眼精疲労がたまる可能性があります。これは目に優しいとされるフリッカーフリーの逆をあえて行う機能だからです。
ちなみに、モニタによっては60Hz時には2回ずつ明滅させることで120Hz時と同等の高速明滅にしている製品もあるようです。しかし、60fpsで残像を消しすぎてしまうと人によっては高速なコマ送りのように感じてしまうかもしれません。

また、価格が低いモニターは黒挿入機能とFreeSyncを同時に使えないことが多いことも知っておいてください。
あるサイトにてASUSのVG259QとVG258QRは「黒挿入が実用的」とおすすめしていますが、これらの製品は黒挿入(ELMB)とAdaptive-sync(FreeSync)の併用が出来ません。
マウスでのFPSゲームではティアリングはあまり気にならないので垂直同期が必須とは言えなかったり、VSyncでしのぐという手もありますが、併用できる製品があるということは頭に入れておいてください。ちなみにASUSの場合はELMB Syncという機能になります。

補足として、黒挿入は100Hz・120Hz・144Hz等、オンに出来るリフレッシュレートが限定されているので、あなたの使用方法にて不要と判断したら条件から切り捨ててください。

なぜ黒を挿入すると残像が消えるのか

ここではCompatibleではないG-Sync対応モニターで使えるGeForceのULMBという黒挿入機能の効果を検証します。
使用モニターはスペック上の応答速度 1ms(GtG)のTN液晶モニターで、オーバードライブは強・中・弱の「中」にしています。
120Hzに設定してあるので、ULMBをオンにすると1秒間に120回画面が黒くなります(点滅は感じない)。

UFO Test: Multiple Framerates
上のサイト様で横に流れている映像をカメラ(1/125シャッター)を同じ方向に動かしながら撮影してみました。

黒挿入オン

上の画像が黒挿入オンで、下の画像が黒挿入オフ(通常)です。

黒挿入オフ

1/120で書き換えしている映像を1/125のシャッターで撮影しているのでよっぽどタイミングが合わないと2コマ分写ってしまいます(1コマ目の後半と2コマ目の前半)。現にオフの画像は2重に見えています。
黒挿入オンのときの映像を実際に目で見ると、プリントした紙を横に流しているようにクッキリと見えます。オンのときになぜ2コマ分が写らないのかというと、それは2コマ目の前半が真っ暗で写らないからです(どの部分を暗くしているかは設計による)。
高性能なカメラで検証すればもっと正確な違いを示せるのですが、特別な装置が何もない環境で記事を作成していますので他のサイト様の記事も参考にしてみてください。

残像以外の残像感の原因である動体ブレ

カメラの性能以前に、「カメラをスクロールに合わせて動かしているのに2コマの映像がズレているのはおかしいのでは?」と思うかもしれませんが、これが「映像の移動と目の動きの差によるブレ感」の原因である動体ブレなのです。
視線とカメラは滑らかに流れますが、映像は「コマの静止画表示と次のコマの小さな瞬間移動の高速な繰り返し」です。この違いのせいで、動きを目で追っているつもりの映像上の物体は実際は静止画の繰り返しで、滑らかに動いている視界内では静止中は物体が後方に流れ、次のコマの物体が進行方向の先に瞬間移動してまた視界内で後方に流れていくことを高速に繰り返します。どんなに応答速度が速くても、240fps以上でもない限りこの動態ブレは目立つでしょう。

視線は時間とともに滑らかに流れていきますが、画面上の物体は1/60秒ごとに瞬間移動と停止を繰り返します
秒60コマの画面上で左に動く物体を目で追ったときの物体の見え方

上の図は滑らかに流れる視線(●)と瞬間移動しては3フレーム分停止する物体(■■■)の位置を上から下に書き連ねたものです。
それを視線の位置に揃えたのが図の左下の緑で、視線である●を上から追ってみると、目で追っているつもりの物体■■■が右に流れては左に飛んでいることがわかります。これが動体ブレで、残像のように感じてしまう現象です。

黒挿入ではこの視界内で流れている時間の半分前後を見えなくしてボヤケ感を弱めています。さらに、色が変化しているタイミングを見えなくしているので残像もほぼ消えます。
加えて120fpsという多めの書き換え回数が瞬間移動の距離(2重に写ってるブレ幅)を縮めているのでブレ感が大幅に減るのです。
黒挿入オフ時の映像で物体を目で追うと、瞬間移動によるブレと目の動きに合わない流れによる滲みで先ほどの黒挿入オフ画像に似た印象となります。
ちなみに120Hz接続でも60fpsほどしか出ていなかったら効果が薄いでしょう。

どのみち有利な高フレームレート

残像は機械で計測して数値を示すことが出来ますが、動体ブレを含む残像感は自分自身がゲームで感じてみないことには何とも言えません。
ただ、高fpsが色々な点において有利なのは間違いありません。fpsを大きく落とす要因である4KはフルHDと比べて横のドット数が2倍ですが、ゲームの敵は1ドット単位で動いているわけではないので、4Kはゲーミングモニターに求めるというよりは大画面テレビでの美しさを求めるときに有効であるといえるでしょう(しかも主に止まっている画)。
フレームレートの違いによる残像感の違いはハイリフレッシュレートの状態で先ほどの UFO Test: Multiple Framerates を見ていただければわかりますが、現在60Hzのモニターなどで読んでいただけてる人のためにカメラで撮影した画像が下になります。
UFOと星空が右方向へ繰り返し流れていて、上が現在のリフレッシュレートの最大fps、中段がその半分のfps、下段が中段の半分のfpsなります。その映像をカメラを視線のごとく右に動かしながら撮影したものです。

フレームレート(fps)の違いによる残像感(動体ブレ)の違い [シャッタースピード 1/160]

上から165fps、83fps、41fpsになります。これを見るかぎり違いはありませんが、それは1/160という速いシャッタースピードで撮影しているからです。ようするに160fpsの1コマという高速度で撮影しているため、時が止まったかのようにブレることなく写っています。
しかし、それでは一瞬だけ目を開けて見たときの映像になってしまいます。モニターを見る目は連続した画を動画として捉えていますので、実際に見た感じと一致する1/40までシャッタースピードを下げて撮った画像が下です。

フレームレート(fps)の違いによる残像感(動体ブレ)の違い [シャッタースピード 1/40]

165Hzのモニターで見ると上のような感じになります(手ブレしてしまっているので実際は全体的にもう少しクッキリ)。
先ほど緑の■●■で解説しましたとおり、視線(カメラ)は滑らかに流れていますが、映像の中の移動物体は1コマごとに瞬間移動と静止を繰り返しています。そのため、目で追っている物体は右に瞬間移動し、静止中は(視線が右に動いているので)左に流れて見えます。
3段の画像は同じ速度で流れているので、fpsが低いほど静止している時間と左に流れて見える距離が長くなります。これが動体ブレによる残像感の原因です。
ちなみに残像が右に流れているように見えるのは、シャッターを押したタイミングによるものだと思われます。

テクノ坊
テクノ坊

60fpsくらいの遅さなら動体ブレは連続でまばたきすると消えるよ。それでも滲んで見える部分は本物の残像ってわけ。

この動体ブレ解消に効果が高い高リフレッシュレート&高フレームレートに残像自体を見えにくくする黒挿入を加えると全体的な残像軽減効果は強力なものになります。黒挿入は120Hz時の1コマの半分≒4.2msを見えなくしてしまえば応答速度(書き換え時間)が1msも4msも変わらないと言っても過言ではないからです(そもそも見えないので)。
この黒挿入機能とFreeSyncのような機能が併用できる120Hz以上のモニターは有力な選択肢になります。
ただし、(120Hz時)4.2ms見えなくしているということは、色変化中の滲んでいる時間(1~4ms)を含めた4.2ms分、遅延しているともいえます。このことからもフレームレートは高ければ高いほど有利であるといえますが、その遅延を感じ取れるところまで行くとそれはプロの領域になるでしょう。

PCでの60Hzとか144Hzとか○Syncとか黒挿入とか実際どうなの?

ここまで長々と書いてきましたが、実際に目で見てどうなのかというと、機器の組み合わせにもよりますが、GeForce + G-Sync対応TN液晶モニター(スペック上の応答速度 1ms(GtG)、オーバードライブ-中)でリフレッシュレートを切り替えて試してみました。

テストに使わせていただいたゲームの1シーン
Little Witch Nobeta(Pupuya Games, SimonCreative)

なんとも可愛らしい絵のゲームにデモ版があったので、マウスで視界を振ったときの柱の見え方を確認しました。

まずは筆者の表現の意味です。
・「カクつき」とは、視界を動かしているときに引っかかる瞬間があること。
・「ブレ」とは、視線の移動とコマ送りのズレによる動態ブレのこと。二重に見える。
・「ボヤケ」は「ブレ」と同じだが、遠景が滲んだように見えること。

144Hz

制限なし(180fps前後):ティアリングは発生しているがごく短い時間なので軽い違和感として感じる程度。高リフレッシュレートで常にそれを上回れるフレームレートを出せることは重要。

120fps制限:制限が災いしてかスタッターが発生しているが時間が短いので僅かなカクつきとして感じる。

60fps制限:低fpsなのでブレてはいるが、そのせいかあるであろう僅かなカクつきが感じられない(120fps制限にバグがある可能性も)。

VSyncオン(144fps):超なめらかで気持ちいい。144fpsを下回らない環境であればこれで十分。

G-Syncオン(180fps前後):けっこう滑らか。もともとティアリングとスタッターの影響が小さかったためか、オンにしても変わった感じがしない。144を超えたフレームはほぼ無駄に。

G-Syncオン(60fps制限):オフ時との違いがほとんど感じられない。

VSync+G-Sync:超なめらかで気持ちいい。144fpsを下回らなければG-Syncの必要性は感じられない。

60Hz

制限なし(180fps前後):表示上は低fpsなのでブレているが、そのせいかあるはずのティアリングが感じない。

120fps制限:表示上は低fpsなのでブレているが、動きはけっこう滑らか。ちょうど2倍の120fpsで安定しているためかと推測。

60fps制限:低fpsなのでブレているが、動きはけっこう滑らか。リフレッシュレートが低くてもフレームレートが安定していれば良好。ブレを無視する癖がつけば問題なし。

VSyncオン(60fps):低fpsなのでブレてはいるが、けっこう滑らか。

G-Syncオン(180fps前後):少し滑らか。

G-Syncオン(60fps制限):低fpsなのでブレてはいるが、動きはけっこう滑らか。

VSync+G-Sync:低fpsなのでブレてはいるが、けっこう滑らか。

120Hz

制限なし(180fps前後):ティアリングは発生しているが影響が小さいので違和感として感じる。144Hzとくらべて、ボヤケが少し増えた。

120fps制限:ティアリングは感じず滑らか。144Hzとくらべて、ボヤケが少し増えた。

120fps制限+ULMB(黒挿入):超クッキリ&滑らかで気持ちいい。

120fps制限+ULMB(黒挿入)+VSync:超クッキリ&超なめらかで超気持ちいい(超最高)。

実用性を踏まえた感想

144Hzモニター1台を60Hzと120Hzにも見立てているのであくまでも疑似的な検証ですが、上の結果からわかったことを羅列します。

●60fpsほどの描画で60Hzモニターだと60fpsを僅かでも下回った瞬間にスタッターが起きてカクくつが、144Hzモニターでは不思議と感じられない。あくまでも60fpsなのでブレては見える。

●60fpsほどの描画で60Hzモニターだと60fpsを僅かでも下回った瞬間にスタッターが起きてカクくつが、120fpsで描画すると起きない。あくまでも表示上は60fpsなのでブレては見える。

●144Hz+180fps前後と比べて120Hz+120fpsは僅かにボヤケが増えるが、ティアリングが発生しないので滑らか。フレームレートがリフレッシュレートと同数か、整数倍で安定していると滑らかに感じる。

●60fpsより144fpsの方がティアリングやスタッターの影響が小さいが、それ以前に60Hzは常にブレて見えることが気になる。

ハイリフレッシュレート+黒挿入(ULMB)+VSyncの組み合わせは超最高

G-Syncの効果が薄いのは軽いゲームでfpsが安定していたためと、重いゲームを想定してfpsを制限したが「fpsが上下する」を再現できなかったことが原因だと思われます。
NVIDIAの黒挿入はG-Syncと排他のため、効果絶大な黒挿入を使うためにもVSyncが有用でした。

兎にも角にも、「高リフレッシュレート」と「黒挿入」で動体ブレと残像を低減して「Sync機能」で表示タイミングを合わせると、1つ世代が変わったかのようにクッキリして滑らかに動く世界になります。
検証はPCで行なっていますが、PS5に当てはめてみると「4Kはきめ細かいが、きめ細かい画像がカクカク(ブレブレ)と流れるよりは、フルHDの画像が滑らかに流れる方が見やすいし、120Hzは黒挿入が使えるモニターがある」といえ、このことからPS5でもゲームによってはフルHDゲーミングモニターの導入は有用でしょう。

3D視点のゲームにおける残像感の低減はマウス操作よりもコントローラー(ゲームパッド)操作のときの方が恩恵があります。
マウスは素早い動きと静止の連続で索敵などをしますが、コントローラーの場合はスティック入力ごとの一定速度で視界が流れるので特に微調整のときに残像感が気になってしまいます。

まとめ[随時更新]

  • 高リフレッシュレートのゲーミングモニターと高フレームレートが出せるPC(またはゲーム機)の組み合わせは必須条件
  • スクロールが多い2Dゲームやゲームパッドでじっくり散策するゲームでは黒挿入機能による残像軽減が多いに活きる
  • WQHD以上はヘリから見る敵や伏せ待ちの敵も見やすくなる
  • G-SyncやFreeSyncはティアリングに関しては意外と減らない
  • 応答速度のスペックはあくまでも目安
  • TN液晶にするならマルチモニターでゲーム専用にすべし
  • 「240Hz? そんなにfps出ないよw」は無駄ではない
テクノ坊
テクノ坊

極論になるけど、マウスでFPSやるなら少しくらいのティアリングや残像は目に入らない。それより、高fpsだと全体の快適性が上がるし、高解像度だと離れた敵の挙動が判断しやすいので、その2つが重要だと思う。


[おまけ]

LGなら27インチ WQHDで「nanoIPS」と「従来のIPS+黒挿入」が選べます。

27GP83B-B Nano IPS/1ms(GtoG)/165Hz/G-SYNC Compatible&Freesync Premium/HDR(31.5インチと書かれている場合は間違い)

27GN800-B IPS/1ms(GtoG)/Motion Blur Reduction/144Hz/G-SYNC Compatible&FreeSync Premium/HDR(Amazon.co.jp限定)

Motion Blur Reduction(黒挿入)は公式ページの概要に載せていないのでウリとしてはいないようです。ゲームをしていないときにわざわざオフにするのが面倒だからか、FreeSyncと排他になってしまうからかも知れません。