これだけは知っておきたいゲーミングモニターの予備知識

リフレッシュレート、フレームレート、応答速度、解像度、ドットピッチ、接続端子、垂直同期(VSync・G-Sync・FreeSync・Adaptive-Sync・VRR)…ゲーミングモニター選びのときに無視できない用語はたくさんありますが、何となくの理解でもゲームをする分には大した問題はありません。
以前からPCでのアクションゲームにおいてモニター選びはとても重要な要素でしたが、最近ではゲーム機においてもテレビと大きく差をつけることが出来る重要な要素となっています。そんな中で初めてゲーミングモニターを購入する人に「何となく」でもこれだけは知っておいていただきたいという項目を集めました。

このページはゲーミングモニターを選ぶときの疑問と実機検証【FPS】という記事を読んでいただくにあたっての基礎知識を別記事にまとめたものです。
本体記事の趣旨により、FPSゲームでの使用を重視した内容になっています。

スペック表にある用語

基本的な用語だけを集めました。垂直同期(Sync)機能については別の項で解説していますが、各種ゲーム用機能については本体記事で解説しています。

リフレッシュレート(Hz)

垂直周波数。ゲーム機やPCがモニターに対して設定した1秒間あたりのコマの更新数で、その固定された設定数でモニターが画を描き換え続ける。PCではモニターのスペックおよび接続端子や解像度に合わせて候補内から設定する必要がある。

NVIDIA コントロール パネルでのリフレッシュレート設定例(デスクトップにて右クリックで起動)

ディスプレイの解像度設定にある最大値に設定して表示されれば問題なし。

一般的なテレビは60Hzなので秒60コマまで描き換え可能です。安定した60コマであれば違和感なくゲームをプレイ出来ますが、ゲーミングモニターなどで100コマ以上から60コマに瞬間的な低下が起きるとガクガクに感じてしまうことがあります。
ゲーミングモニターはとくに「ゲーム機対応」を謳っていない場合、「DisplayPortに高リフレッシュレートで接続する」ことを前提に作られている製品があります。これらの製品の中にはゲーム機で多用される60Hz時にオーバードライブがうまく機能せず、盛大な残像が発生するものがあります。

フレームレート(fps)

ゲーム機やPCが1秒あたりに描く画のコマ数。前述のリフレッシュレートが更新する回数(固定)なのに対し、フレームレートはその更新作業に送り込まれる画の数(変動)になる。ハードの性能やゲームの内容によって大きく上下し、目的とするゲームにおいてのこの数値の平均が60を大きく超えないとゲーミングモニターの最大の売りである高リフレッシュレート性能を活かせない。

固定されたリフレッシュレート(更新回数)とフレームレート(コマ数)が一致しないとチラツキ(ティアリング)が発生します。

FPSゲーム

Apex Legendsのような一人称視点のシューティングゲームで、最もモニターにこだわりたくなる用途。フォートナイトのような三人称視点のシューティングゲーム(TPSゲーム)も同様。
モニター選びにおいてFPSゲーム利用に全振りしてしまうと他のゲームやデスクトップで使いづらい選択になってしまうことがある。

表示遅延

映像データを受け取ったモニターが画面に表示するまでの映像処理などで遅れる時間。ゲーミングモニターやテレビのゲームモードは極力この時間を少なくするように設計されているが、ほとんどの製品のスペック表には載っていない。

応答速度

正確には応答時間。モニターによる映像処理などのあと、実際に画面のピクセル(ドット)が指定された色に変化し始めてから終わるまでにかかる時間(1000分の数秒)。応答速度という呼び方のため、モニターに送られてきた映像データが表示されるまでのスピードと勘違いされやすい。
120fpsの場合の1コマは約8.33msなので、平均応答速度5msだとコマの前半は前のコマの色が影響することになる。つまり、最新のコマの画が浮き上がると同時に前のコマの画が消え始めるので、2つの画が合成されたような状態が一瞬だけ混じることになり、残像と呼ばれる現象が発生してしまう。
この5msほどの描き換え時間は人間の目には感知できないが、物体の移動やスクロールなどでゆっくりと動いている映像では滲んでいるように見えてしまう。
フレームレートが低いほどコマの差(表示されている物体の移動距離)が大きいので大きな滲みになる。
応答速度によって残像の量は変わるが、目で感じる残像感は別の理由による動体ブレによって発生している。また、残像といっても移動物体の進行方向にも現れる。

応答速度には計測方法により「GtG」と「MPRT」があり、GtG(GtoG)は中間色から別の中間色への変化時間で、MPRTは現実的に動画としてぼやける度合いを数値化したものです。
スペック表に「GtG 1ms」と記載されていてもそれが実用的であるとは限らず、あくまでもオーバードライブという機能を最強にしたときの最速記録を大雑把に表現した値です。
実用的に動作させて「GtG 3ms」と書いてしまうと劣った製品と判断されてしまう可能性があるので、人間の目で感じる残像感も考慮した「MPRT 1ms」という表記がされるようになりました。
本体記事で説明していますが、目で感じるブレには実際に2重で表示されるために起きる残像と、視線が移動しているために起きる動体ブレがあります。

テレビと同じ16:9の画角を持つ主な解像度

フルHD 1080p 1920 × 1080
WQHD 1440p 2560 × 1440
4K(UHD) 2160p 3840 × 2160

40インチ以上のテレビはフルHDと4Kが大部分を占めていますが、この2つのピクセル(ドット)数の違いは縦2倍×横2倍の4倍で、ゲーム映像を演算する負担が大きく違っています。
負担が違っているとはいえ、現在のほとんどのテレビは1秒間に60コマまでしか受入・表示できないのはどちらの解像度でも同じです。
ゲームプレイにおける4Kのピクセル数はよほど大画面でないと恩恵に与れませんが、それゆえに大画面化が進んでいるテレビ向きであるともいえます。
中間のWQHDはPCで人気の27インチにマッチしています。FPSゲームにおいて、遠くの敵を見たいときに顔を画面に近づけると細かい部分が見えるので便利です。

たまに目にする1080iのiはインターレースの頭文字で、大雑把に書くと、ブラウン管の時代に主流であった「映像を1行(ライン)飛ばしで伝送・表示する方式」です。まず奇数行のみを上から順に表示し、次のコマは偶数行のみをまた上から表示するということを繰り返します。
これによってデータ量と上から下までかかる表示時間(上下の差)が半分で済み、同じ時間で2倍のコマを表示できたり、上方より下方が遅れて見える現象を軽減します。
しかし、画面全体で強制的にティアリングを起こしているようなものなので、動画がややブレて見えたり、チラツキ(フリッカー)を起こす弊害があります。
伝送・表示速度が格段に上がった現在ではほとんど一般利用されていません。

ゲーム用途としての主なドットピッチ

画面インチ解像度ドットmm
24フルHD0.277
24.5フルHD0.282
27フルHD0.311
27WQHD0.233
274K0.155
284K0.161
31.5WQHD0.272
324K0.184
494K0.282
554K0.317
「ドットmm」は1ドットの大きさ(ドットピッチ)

PC利用時でとくに設定を変えないという前提だと、今使っているモニターのドットピッチより小さいモニターに換えるとソフトウェアの文字やボタン等が小さくなることになります。
デスクトップアイコンの文字を見るという用途では、個人的には0.23以下が高精細、0.28以下が普通、それ以上は荒く感じます。

大画面テレビの場合は離れて見ることになるので4Kであればドットピッチを気にする必要はありません。FPSゲーム時に視界の大部分を画面にしてしまうと目が疲れたり酔いやすくなったりします。眼球を動かす量も多くなり、メガネ使用時はレンズの端で見ることにもなるので更なる疲労へとつながります。

24インチのフルHD(0.277)から27インチのWQHD(0.233)に換えても精細感はあまり変わりませんが、同じ大きさのフルHDからWQHDに換えると緻密な画に満足感が得られます。ただし、そう感じるのは画が止まっているときだけで、ゆっくりスクロールするとブレて見えるのは同じです。止まっているときが高精細な分、動いているときとのギャップは大きく感じます。

同じ画面サイズでフルHDからWQHDに変える検討をしている場合、ドットピッチが0.749倍になりますので、Windows PCであればCtrlを押しながらブラウザ上でマウスのホイールを回して75%表示にすると大まかなイメージを掴むことが出来ます。

接続端子のバージョン別の最大解像度

HDMI
Ver.1.4 4K-30Hz WQHD-60Hz フルHD-120Hz

Ver.2.0 4K-60Hz WQHD-144Hz フルHD-144Hz
Ver.2.1 4K-144Hz WQHD-240Hz フルHD-240Hz

参考元:パソコンピックネット
※最大周波数は伝送速度による理論値です。実際はデータの圧縮率やモニターの仕様によって変わるので、正しくはモニターの説明書(プリセットモード)を確認してください。

DisplayPort
Ver.1.2 4K-75Hz WQHD-165Hz フルHD-240Hz
Ver.1.4 4K-120Hz WQHD-180Hz フルHD-240Hz

ゲーム機・PC側とモニター・テレビ側で端子が同じ規格(形状)であればバージョンが違っても接続できますが、バージョンが低い方の性能になります。
また、使用するケーブルの性能も足かせになるので注意してください。HDMI 2.1の性能をフルに生かすには「48Gbps対応 Ultra High Speed HDMI Cable認証」と書かれているケーブルを推奨します。モニターに付属しているケーブルであればまず問題ありません(ごく稀に駄目な場合あり)。

勘違いのないように書きますと、上記は端子の規格なので、例えばHDMI 2.0の端子がついたテレビやモニターであれば全て144Hzに対応するというわけではありません。
HDMI 2.1未満のテレビはほとんどが60Hzまでしか対応していないのでわかりやすいですが、モニターの場合はDisplayPortをメインに説明しているので、ゲーム機利用でHDMIを重視するのであれば必ず取扱説明書をダウンロードしてHDMIタイミングのプリセットモードを確認してください。

LG製フルHD・240HzモニターのHDMIタイミングの例

上の画像の例では、HDMI接続で「フルHD(1080p)・120Hz」や「4K(2160p)・60Hz」の映像データが入力可能と推測できます。

4K 120Hzに対応したテレビを発売するメーカーが増えてきました。しかし、一部の機種では120Hz時に縦の解像度を半分に減らして映像処理をしているようです。
例として、AQUOSの取扱説明ガイドに「120Hz(HDR)モードは、120Hz(HDR)映像入力時に解像度を間引くことにより、HDR処理を優先して表示するモードです。」と記載されています。この場合はHDRをオフにすれば2160pで表示されるのだと思われます(推測)。

垂直同期などのSync機能

激しいアクションゲームにおいてスムーズな画面表示は成績に大きく影響します。このSync機能はいくつかの種類があり、主にティアリングやスタッターを軽減させる機能ですが、ゲーム内容や操作方法によって最適な組み合わせを見つけると無駄な負荷が減ります。

VSync

用語の項にて「リフレッシュレートとフレームレートが一致しないとチラツキやカクツキが発生する」と書きました。このうち、チラツキの方が発生する原因は画の描き換えが画面の上から下(注記あり)に行われていて、その途中から画の内容が次のコマに切り替わってしまう為です。
つまり、画面の上の方と下の方で1コマ分ズレるため、とくに横スクロール時にはハッキリと見えてしまいます。このズレの位置がコマごとに上下するためにチラチラと気になってしまうのです。
とくに描画するフレーム数が多すぎるときは顕著で、60Hzのモニターやテレビで180fpsも描画してしまうと1画面に2~3カ所のティアリングが上下に動き続けてしまいます。

[注記]描画について、正確には左上から1ピクセルずつ右に描画して右端まで来たら1ピクセル下の左から右への描画の繰り返しですが、水平方向の描画は人間が感知できる影響がないので「上から下」と記載しています。

そこで登場したのがVSyncという垂直同期機能で、ゲーム内の設定で「オン」や「自動」にすることでチラツキはほぼ解消されます。

このVSync(ここでは旧式のVSync)はフレームレートの最大数をリフレッシュレートの値に合わせ、モニターの描き換え途中に次のコマを送らなくすることで画面の上部と下部で別のコマが表示されてしまうことを防ぐ機能です。これにより上から下まで同じコマが表示されますが、フレームレートが低下したり、わずかな遅延、カクツキが発生することがあります。

[VSyncオフの場合]コマ数が更新回数より少ないと、間に合わなかった更新時は前のコマの画を上方から表示し始め、新しいコマが届いた時点の更新箇所(画面の上方から下方への途中)から新しい画に切り替えて表示を続けます。コマ数が更新回数より多い場合も新しい画が届いた時点で次のコマに切り替えてしまいます。これらのことによりチラツキ(ティアリング現象)が起きます。

[VSyncオンの場合]コマ数が更新回数を上回ることはありませんが、下回った場合、間に合わなかった更新時は前のコマの画を上方から下部まで描画されます。これにより画面の上下で別のコマの画になることはなくなりますが、同じ画が連続で表示されることにより、一瞬、止まったようなカクツキが感じられることがあります(スタッター、スタッタリング)。
わずかな遅延については、最大フレームレートを抑えてしまうことで本来描画するはずだったタイミングを逃してしまうためです。ただし、こちらはよっぽどフレームレートに余裕がなければ差は出ません。

この「わずかな遅延」はFast-Sync(または高速)という機能で減らすことが出来ます。これは演算するフレーム数が無制限ながら、実際に描画する画はモニターのタイミング(リフレッシュレート)にすることで最新の画を使いつつ、ティアリングを抑えます。
ただ、リフレッシュレートの2倍以上のフレーム数を演算しないとあまり意味がありません。低リフレッシュレートほど効果があるので、60Hzだと2倍で1/120秒だったとして8.3msほど遅延が減ります。

これらの現象はリフレッシュレートが高いモニターほど感知しにくくなります。何故かというと、240Hzのモニターは60Hzのモニターより4倍更新タイミングが来るからで、わずかに遅れた場合でも次の更新タイミングまでの待ち時間が少なくなるからです。つまり、ティアリングが表示されている時間やスタッターによって同じ画が延長表示される時間が1/4になるからです。遅延に関してもロスするタイミングが減るので低減するでしょう。

最近のゲーム内設定にあるVSyncはとくに明記していなくても「Adaptive VSync(自動または適応とも)」という新しい方式になっています。こちらはリフレッシュレートよりフレームレートが上回っているときはフレームレートをリフレッシュレートの数値までに制限することでVSyncと同様にティアリングをなくし、下回っているときはVSyncの動作をさせないことでスタッターをなくしています。動作させていないときにはティアリングは軽減できないので完全ではありません。

G-Sync FreeSync Adaptive-Sync VRR

いつの時代も大作ゲームはグラフィックのリアルさを求めるため、それに追いつかないハードがフレームレートを下げてしまうことがあります。
前項のVSyncがモニターのリフレッシュレートにGPU(グラフィック機能)側がフレームレートを合わせるのに対し、可変リフレッシュレートと称される垂直同期機能はモニター側がリフレッシュレートをリアルタイムでGPUのフレームレートに合わせます。

ハードウェアの進歩によりモニターのリフレッシュレートとGPUの性能が上がりましたが、ゲームの処理内容も上がり続けているために実際のフレームレートはあまり上がっていないのが現状です。
そこで、新しい垂直同期機能はモニター側がコマを受け取ったタイミングで画面の更新を始めるようにしました。それにより、モニターのリフレッシュレートをゲーム側のfpsと同期させて画面のティアリングやカクつき、わずかな遅延を減らします。
最新の画を演算するのはGPU側なので、そちらに合わせた方が遅延が少なくなります。モニターに合わせれば待ち時間で遅延し、どちらにも合わせなければティアリングが発生するのです。

この機能を使うためにはグラフィックボードやゲーム機のGPUとモニターが同じ規格のSyncに対応している必要がありますが、FreeSyncとAdaptive-SyncとVRRは相互に対応する可能性が高くなっています。というのも、AMDが開発したFreeSyncの技術をDisplayPort 1.2a規格に取り込んだのがAdaptive-Sync、HDMI 2.1規格に取り込んだのがVRRで、そのためにこの3つは互換性があるからです(VRRはHDMI 2.1以上専用ではない)。
また、多くのモニターやXbox oneが対応しているFreeSyncは、入出力の双方が対応していればDisplayPort 1.2a未満でもHDMI 2.1未満でも使えます。

ちなみにG-SyncはNVIDIAが先んじて開発した同様の技術で、G-Syncに対応したグラフィックボードと、G-SyncまたはG-Sync compatibleに対応したモニターとの組み合わせで機能します。ただし、G-Sync compatible公認ではないモニターでもFreeSyncに対応していれば使える場合があります(不安定になる場合あり)。

どのSyncを使うべきか

まず、これからゲーミングモニターを買う場合は対応機器が多いFreeSyncに対応していることが望ましく、NVIDIAのグラフィックボードを使う可能性があるのであればG-Sync compatibleにも対応していると安心です。

G-SyncやFreeSyncの可変リフレッシュレートはティアリングを低減することが出来ますが完全になくすことは出来ません。VSyncと併用するとほぼほぼなくすことが出来ますが、VSyncはfpsが低下したり、人によっては操作遅延を感じる場合があります。
また、可変リフレッシュレート機能は他の機能(黒挿入など)と併用できない機種があるので、ゲーム内容や操作方法によってはオフにしても良い場合があります。
可変リフレッシュレートをオフにした方が都合が良いゲームでは全てオフから始め、ティアリングが気になるようならVSyncをオンにしましょう。

テクノ坊
テクノ坊

スタッタリングって実はグラボのドライバーが原因で起こることもあるんだよね。ドライバーの更新内容を見ると特定のゲームのスタッタリング発生を修正したとか書いてある。

まとめ

基礎知識と銘打っている割にはスペック表のごく一部しか解説していませんが、これだけ把握してもらえれば本体記事の内容は理解していただけると思います。
黒挿入機能や応答速度など、このページで解説されていない部分を知りたい場合は本体記事であるゲーミングモニターを選ぶときの疑問と実機検証【FPS】を参考にしてください。

テクノ坊
テクノ坊

FPSは素早く視点を動かすのでティアリングはそこまでこだわらなくてもいいんじゃないかな。
残像は多すぎると動いているものが滲んで見えるので軽減が重要だけど、TN液晶にしてまで減らそうとすると色の視認性で不利になりそう。